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2025.03.25イベント・セミナー
2025年3月22日、ノックオンザドア株式会社は、第12回全国てんかんセンター協議会総会にて、スポンサードセミナー1「てんかんオンライン診療の実際」を共催いたしました。
本セミナーでは、当社が提供する「てんかんオンライン診療サービス nana-medi(ナナメディ)」をはじめ、nanacara(ナナカラ)プラットフォームが、そしてアプリで記録した発作状況を診療時にパソコン等で閲覧できる医師向けサービス「nanacara for Doctor」が、実際の医療現場でどのように活用されているかが紹介されました。
オンライン診療が、患者やご家族にとって通院の負担を軽減し、継続的な治療を支える大きな助けとなっていることが示されました。また、医療機関にとっても診断の精度向上や地域医療の効率化に役立つ可能性が報告されました。特に遠隔地にお住まいの患者や、移動が困難なご家族にとって、オンライン診療が安心して治療を受けられる貴重な手段であることが伝えられました。
私たちにとっても、提供しているソリューションがどのように実際の現場で活用され、医療従事者や患者・ご家族に貢献しているかを学ぶ、非常に意義深い機会となりました。
■セミナー概要
タイトル:スポンサードセミナー1「てんかんオンライン診療の実際」
日時:2025年3月22日(土)15:15〜16:15
共催:ノックオンザドア株式会社
座長:中川 栄⼆先生(国立精神・神経医療研究センター病院)
演者:
谷口 豪先生(国立精神・神経医療研究センター病院)
岡崎 伸先生(大阪市立総合医療センター)
野﨑 拓朗先生(沖縄県立宮古病院)
■発表内容のポイント
●谷口 豪先生(国立精神・神経医療研究センター病院)
「NCNPてんかんセンターにおける遠隔診療」
谷口先生は、国立精神・神経医療研究センター病院において「nana-medi」と「nanacara」を組み合わせたオンライン診療システムの実践について報告した。
特に「nanacara」による発作動画の共有とPHR(パーソナルヘルスレコード)のデータ管理を組み合わせることで、患者の状態を的確かつ迅速に把握する仕組みを構築した。
神経発達症を併存する患者に対しては、自宅で診察を行うことで診察時のストレスを軽減し、自然な状態での観察が可能になる点を示した。また、発作動画を診療前に医師が確認することにより、診断精度が向上し、適切な治療方針の決定が効率化されることを指摘した。
さらに、遠隔地の患者や通院が困難な患者に対する医療提供の質を高める可能性を示唆し、オンライン診療による医療アクセスの向上に貢献することを示した。オンライン診療の更なる普及が重要であると述べ、今後の発展に期待を寄せた。
●岡崎 伸先生(大阪市立総合医療センター)
「オンライン診療ツール(nana-medi)を利用した遠隔診療・離島との2年間」
岡崎先生は、てんかん専門医が不在の沖縄県宮古島市の患者・ご家族とかかりつけ医である宮古病院の小児科医、大阪のてんかん専門医をつなぐ遠隔診療の実践事例について報告されました。
特に沖縄・宮古島などの離島地域において、かかりつけ医とてんかん専門医の連携を通じて効率的な診療体制を構築した点を強調した。オンライン診療では、発作管理を専門医が担当し、全身管理をかかりつけ医が担うという役割分担を行い、患者に適切な医療を提供することが可能となっている。
発作動画の共有を通じて診断精度が向上し、対面診療が困難な患者に対しても適切な医療を提供することが可能であることを示した。また、患者が自宅で診察を受けることにより、心理的負担の軽減が確認された。児の母親からは「家で診察時は児がリラックスして、すごいいい顔だ」との報告があり、患者が自然な状態で診察を受けることが診療の質向上に寄与することが示唆された。
さらに、オンライン診療によって患者や家族の移動負担を大幅に軽減し、QOLの向上に寄与する効果も確認された。これらの結果を踏まえ、岡崎先生は、専門医と地元医師との連携がオンライン診療の効果を高める重要な要素であると述べ、今後の更なる普及と効率化を図る必要性を指摘した。
●野﨑 拓朗先生(沖縄県立宮古病院 小児科)
「遠隔地におけるオンライン診療の活用」
野﨑先生は、沖縄県立宮古病院において「nana-medi」の導入による診療効率化と診断精度の向上について詳細に報告した。
特に沖縄本島への受診にかかる経済的負担が大きいことを指摘した。航空券代は3万6000円から6万円、宿泊費は3万円で、場合によっては最高額で17万円かかるケースもあると述べた。また、紹介状や診断書の準備、福祉車両の手配、呼吸器や酸素発生器の用意といった煩雑な準備も必要であり、これが患者や家族にとって大きな障壁となっていると報告した。
オンライン診療の導入により、遠隔地からでも専門医による診療が可能となり、これらの負担を大幅に軽減することができる点を示した。てんかん専門医との連携を強化することで、患者の全身管理に集中する体制を提供できることを示した。また、オンライン診療によって患者の継続的なモニタリングが可能となり、QOL向上にも寄与することが示唆された。
今後の課題として、緊急時対応を強化するためのホットライン構築を挙げており、特に重症時の対応を迅速に行う仕組みが必要であると述べた。これにより、医療提供体制のさらなる改善が期待される。
■座長・中川 栄⼆先生によるまとめ
座長を務めた中川先生は、セミナー全体のまとめとして次のように述べられました。
「実際に活用してみて、オンライン診療は、通院が困難な患者・ご家族やてんかん診療において、とても有効だと感じています。オンライン診療で、病院では見られない普段の様子や生活背景が把握しやすくなり、より丁寧な診療につながります。実際、患者・ご家族からも“オンライン診療を継続してほしい”という声が多く、今後の診療のあり方として定着していく可能性を感じました。」
■今後に向けて
今回のセミナーでは、臨床現場や患者ご家族からの声にもとづき、てんかん医療にとってオンライン診療の有用性は医療精度をあげることだけではなく、ご家族にとっても負担を軽減できる手法として有効であることが再確認されました。また、nanacaraを通じた発作動画の共有やかかりつけ医との連携によって、診療の精度や安心感が高まる事例も紹介され、多くの学びを得る機会となりました。
ノックオンザドア株式会社では、患者・ご家族、医療機関の皆様と引き続き協力しながら、nana-mediやnanacara薬局をより良い形で成長させ、オンライン診療の普及と質の向上に取り組んでまいります。また、このような学びの場に積極的に参加し、得られた知見をもとに新しい支援・サービスの形を追求し続けたいと考えております。
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